「心にナイフをしのばせて」


「ユージニア」を読む前に、読破したのがこの本である。
この本はあの酒鬼薔薇聖斗事件の28年前に起こった、
同様の未成年による惨殺事件を書いたノンフィクションの話である。


まず、ここで「ノンフィクション」というのは、
「あくまで主観性を伴うものであり、事件の流れからし
他人からするとフィクションにも取られる可能性があるという一面がある。」
ということが言われている。
もちろん、この作品にもその意見は成り立つ。
あまりにも書き手が被害者の方に立ち過ぎではないかという声だ。


この作品において事件の概要を話すことはそんなに文意に逆らってはいないと
思われるため、少し説明する。
この事件の始まりは「加害者が被害者からいじめられていた」ということから
起こった話ではある。その部分を起点にものを考えていくと、これは極論だが、
この事件が起こしたことは「精神破たん」として処理されるものかも知れない。
ナイフで同級生を数十回突き、失血死した後に首を切り落とし、
自ら肩口を切り、他人の犯行に見せかけ助けを呼んだ…。
事件の概要としてはそういう話だ。「いじめ」から起こった事件にしては余りに加速度が激しすぎる。
余りに「いじめ」が加速したためにそうなった…と言ってもちょっと納得はいかないところがある。


しかし、この作品が「本当にしたこと」は非常に大きい。
この作品から被害者が「証拠」としてしか捉えられていなかった法曹界
被害者保護の観点を見いだしたことが大きすぎる。
法律も制定されたり、法廷で被疑者との遮蔽措置がとられるようになるなど、
被害者の人権を尊重されつつある。


この話はその被害者の両親、妹の話である。
事件自体の話はそんなに詳しくは書いていない。
その一人一人の話がとてもぶ厚く、
何回も繰り返す(作為的かも知れないが)事件後の話がとても痛い。
そして、最後のはなし。これは余りにつらい。
「神がこの世にはいるのか」とさえ思ってしまう話。
この重たい暗い話の割には集中力が途切れない文脈。
傑作、と評してしまうのは難しいけど、こういう歪んだ事件関連の本の中では
意義がある本であろうと思われます。

心にナイフをしのばせて (文春文庫)

心にナイフをしのばせて (文春文庫)

今日は野球がごった煮。


今日は朝から薄曇り。
昨日は晴れていて山道を車で走っていたのですが、
木漏れ日が窓に乱反射して凄く運転しづらい一日でした。
今日はそれが全くない一日にはなったのですが、
落ち着いて構えられる日にはなりませんでした。
週間天気における来週の天候が悪すぎて、今から胃が痛いです。
始めの4日間だけ降らないで欲しい…。
無理っぽいけど。


家に帰る前に携帯で「ヤンキース松井大活躍」の情報を仕入れ、
BSでワールドシリーズ第6戦を観る。日本シリーズも気になるけど、
松井がどういった活躍したのか詳しく観たかったが為に観る。
ほうほう、そういうことだったのね…。よくやったなぁ…。
なんて思ったら、日本シリーズもえらいことになっていて、
これまたびっくり。深夜の再放送を観るけどダイジェストじゃないから
完全に夜更かしさんになりそうです。

「ユージニア」

ようやく「ユージニア」を読み終えた。
恩田陸氏の小説は初めて読んだ。
この作品のノンフィクションのように書かれていることで、
回顧録ともとれるし、インタビューとしてもとれる文調になっている。
実はこの作品を読む前に、ノンフィクションの作品を読んでいたせいか、
前の作品とのリンクを勝手に頭がやってしまい、
凄くこんがらがってしまった。


しかし、この作品は始めにことの成り行きが説明された後、
淡々とし、徐々にというか、物語の途中で変化が起きる。
時間軸のズレも後半では出てくるが、数人の考察から舞台を詳細に浮き上がらせ、
そこからザプンと波が押し寄せる。
何回も視点を入れ替えることによる描写はとても丁寧。
一人一人の性格も事細かに入れながらインタビューが進んでいく感じが
とても面白かった。
でも…読んでみたらわかるんですが、最終的な核心がぼけてしまっているのです。
これは作為的なのでしょうが、ここまで読んだらそこまで…って感じにはなる作品でした。


考えさせる余韻が残る作品というのは意外と少ない気がします。
書く人間も完結させたい気持ちが強いからでしょう。
この作品は完結はしています。
しかし最後が「。」で終わらずに「、」で終わった感じですね。
読み終えた後、「うぉぅ」って言ってしまいました。ええ。

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

ラーメンとパン。


昨日は遠い街の駅で遠い時間を過ごしたために心底疲れた。
雨の日に遠い場所まで、それも夜に運転するのは
想像しているより体力の消耗が激しい。
長崎に帰ってきたのが午前0時過ぎ。
おなかが減ったので、弁当屋に予約の電話を入れる。
妙に電話が通じない。やっと通じたと思うと、午前0時に営業終了とのこと。
「え!マジすか!!」久々の深夜の外出だったので、
そんなことは全く知らなかった。近隣の弁当屋も閉まっている。
おいおい…弁当が楽しみで帰ってきたのになぁ…なんて。
24時間営業も人件費削減のために無くなってしまったのかぁ。
高速通らないで下道で2時間半。
高速で1時間の方がすべてがうまくいったってことなのか…。
コンビニ弁当など2年ぐらい買っていないし。
ラーメンにパンなんていう大学生みたいな買い物をして帰宅。


祭日とはいえ、仕事が満載なら仕事に出る。
しかし、仕事は空っぽ。三度寝してしまった。
寝るのも疲れるなぁ…。小説読むの忘れてた。
日本シリーズ、実力が切迫して面白い。でも結構疲れる。
来週だけは天気になってください。そうしないと…あー胃が痛い。

読書の秋。


ブログを書いていない間は本を結構読んでいた。
今連続9冊目を読みつつある。
この9冊目がかなり時間がかかっている。
こうなってくると、伊坂幸太郎作品の読みやすさは半端じゃない
ってことに気づく。でも、それだけ難易度が低いってこともいえるのだ。
本は読みやすいにこしたことがない。でもそれだけでは
通り過ぎていくだけのような気持ちになっていく。
精神風景の描写は速読では読めないのではないかと思う。
村上春樹氏の「ねじまき鳥…」なんか速読では何を書いているのか
理解できるのだろうか?パスタやアイロンは理解できるだろうけど。


とにかく、今読んでいる作品はすらすら読めなくて困っている。
数冊が「早く読んでよ」って待っているような気がして焦る。
伊集院光氏の「のはなしに」も買ったのにまだ読んでいない。
「ナインティンナインのオールナイトニッ本」も隅からは読んでいない。


僕には相当の曰く付きの本である、よしもとばなな氏の「N・P」もある。
これは読んでしまった後に焼く予定である。
この話はずっと先の方でしようかと思っている。
吉田修一氏の本がたまっている。


季節は秋。読書の秋である。
年末まで何冊読めるのだろうか?


そんなに読書家ではないのだが、なんか読みたい欲求に駆られている。

ハンバーガー。

flowtime2009-08-20


この天気はどこまで続くのだろうか、なんて考えてみたりする。
こないだまで雨ばかり降っていたのに、週間天気では傘のマークすらない。
世界陸上が始まったが、織田裕二にはあの爆発性もない。
全く関係のない話だが、この頃仕事の金銭に関して想像すると、
ハンバーガーが浮かんでくる。上と下にバンズがあって、真ん中にはハンバーグがある。
ハンバーグは会社の利益。これが厚いと美味しいわけだ。
上のバンズは人件費、下のバンズは材料費。全部で見積価格というわけ。
値引きをしろって言われると、僕らはバンズにまず手をかけねばならない。
人件費を抑える、といってもこれはなかなか難しい。
人道的に難しいし、いろいろ策を練ってもそう簡単には抑えられない。
今度は材料費だ。これも難しい。
はっきり言ってこれに手をかけるのは至難の業である。
「安くていいもの」なんてあるわけがない。いいものは高いし、劣るものは安いに決まっている。
劣るものを使っても後々面倒になるので、これは非常に削りにくい。
となると、もうハンバーグを小さくするしかない。これは致命的なところもある。
ある割合を超えると、もはやハンバーガーにもならないのである。
そうやって、僕らは生きている。
こういう風にしたのは「消費者」のせいでもあると、消費者の一人として言いたいことがある。
安値競争には煽りがあるのだ。あまりにもポリシーがない人間が増えすぎた。
いいものより安いものって評価があればあるほど品質は下がっていく。
それだけは理解して欲しい。


横道にそれまくって、その横道が本題みたいになってしまった。
いいたいのは、「少しはいいハンバーガーを食べさせてください」ってことだ。


最近、とあることでショックを受けてしまい、つくづく情けなくなってしまった。
そんなことばかりだ。泣きっ面に蜂の大群である。