長崎乱楽坂

今日、「長崎乱楽坂」吉田修一著を読み終えました。
いやぁ、初めはどうなることかと思ったのですが、
薄い本なのになかなか読み応えのある本でした。


吉田修一さんというと長崎市出身で高校の先輩にあたる方なのですが、
とにかく今の活躍はめまぐるしく、羨ましいほどです。
この本は長崎が舞台なのですが、そこに異常なまでの郷土愛みたいなものは
表現されていません。何となく長崎という閉塞感のある土地での出来事を
じんわりと捉えて書かれた内容でした。


やはり長崎で生まれたからには、長崎のことを書きたい気持ちは
誰しも持っているのだと嬉しくなりましたね。
逆に他の県民に長崎のことをあまり書いてほしくないところもあります。
だから「長崎に来ちゃった」が大嫌いなんだと思います。
なんかいいたいのなら出てけ!みたいな。


横道にそれましたが、この本は章ごとに時間と視線が変わります。
この作り方が、この内容で飽きが生まれないベストの作りのような気がします。
どうも最後の作り方はあまり好きではありませんが、結局のところこうやるしかない
ってところもありますね。死より消失の方が確かにいいのかもしれません。

個人的には「宝町のボウリング場」は懐かしくて堪らないとこですね。

長崎乱楽坂 (新潮文庫)

長崎乱楽坂 (新潮文庫)