後ろ向き


疲れとともに、気だるさばかりが心に残る。
ごくたまに欲望あるままに
まるで春のミミズのように蠢いてはいるが、
ふと我に返ると、単なる我しかいないのである。
口淋しくなるほどに、タバコにばかり手が伸びる。
時代に逆行する喫煙者である。
緩やかに煙は天井まで伸びていく。僕が死ぬ日も煙はこんな感じに
空の上に上っていくに違いない。いや、まだ焼かれるならいいほうかも知れない。
中国人が仕込んだ毒で死ぬのはいやだ。
ベッドで線につながれて生かされるのもなんとなくいやだ。
                                      
一年で一番寒い時期にこんな目にあっている。
具体的には言わないが、状況はあまり良くない。
僕は大学時代からゆったりと下降線を辿っているが、
どんどん底のほうが見えつつあるとこまで降りてきたみたいだ。
底の方の地面にもまだ底なし沼が存在しているような気がする。
もっともっと底があるのだ。