MRAかぶれ。1

山崎まさよしの「僕らは静かに消えていく」があまりに心に
染み渡るもので、自分がいかに平穏を求めているのか分かるのです。
                                   
不思議な客がいる。理論武装で何もかもガッチリ固めている人間だ。
MRAという言葉をやけに用いる。モラル・リ・アラーメントという
「道徳再武装」というものを推進する団体らしい。
ブックマン博士という人間が提唱した運動で、
「世界の再創造は、軍備の再武装ではなく、精神、道徳の再武装によって成し遂げられる」
という信念を運動化したものである。
僕から言わせれば、そんなものいちいち運動化するなよ!ってなもんで、
そんなもんを用いて周りの人間を論破するのが好きなガタイのいい70歳の爺さんなのだ。
よくよく話を聞いてみると、プロフェッショナル論というか、
プロの連鎖によってよりよい世界が成り立つそうだ。僕が一番嫌う正論で、
確かに間違いではないのだ。
しかし、それは土壌が問題になってくる。
こんな片田舎で土壌さえも揃っていない場所でそんな旗を揚げたところで、
誰もが飯にあり付けるかが重要な問題なのだ。
理念で飯など食えない。スイーツ(笑)な考えで、机上の空論だろう。
マクロすぎて現実問題では成り立たない。
彼は写真を取りまくる。他の業者が仕事をしているところで数十枚写真を撮って、
ボードにまでしている。話をしていると録音までする始末。
「人を信用しないのではなく、当たり前の行為である」と彼は言う。
「プロなら写真を取られようと、録音されようと動じないものだ」という。
はいはい、正論です。でも、薄気味悪い。チューするのに念書を書かされるようなもんだ。
「エゴがすべての争いの元である」彼は言う。
僕はもう6歳のとき、婆さんに「わがままがせんそうをおこすんだ」って言ったことがある。
言論はループしながら高みに上がっていく。
いろんな考えや経験により、渦巻きながら確固たるものになっていく。
どうも彼の思考はこのバネが縮んで、回転しているのに高みに上がっていない
論理にしかなっていないと推測してしまった。