紙飛行機

ああ 何一つ変わり映えしない街だ
笑い声一つで 苛立ってしまうんだよ
              
肝心で いいところの ピースを胸に
潜めているんだ 笑い話だよね
         
置いていった日記には 未来のことが書いてあって
不甲斐無かったよね うまくいかなかったよね
               
行きたかった場所は 山ほどあるけれど
途中のレールが切れて 進めないのです
        
左の車窓から 端島が見える
君が邪魔して 見えないはずなのに
車を止めて 飛び出して 強く強く叫んだ
ああ 端島が滲んで 見れないや
          
ああ 好きな煙草がやめられずに
変なことばっかり 考えてしまうんだよ
               
朴訥で達観した どこかの中年みたいに
すべてを割り切って 生きていたんだ
          
現実から視線をはずして 見ない振りをしてしまう
「僕」が大事なのか 僕の「立場」が大事なのか
               
酒を飲むのが 苦手で本当によかった
君のこと思い出して ブツブツ言うのはやっぱり嫌だ
               
右の車窓から 端島が見える
僕が邪魔して 見えないはずなのに
君がいない助手席には ノートが一冊
ああ あのページが滲んで 見れないや
            
ああ そのページ破って 紙飛行機