超短編:横顔

たどり着いたページは僕の知らないものだった。
いかにも彼女らしい文章が並んでいる。それは去年の春から始まっていた。
遠くて近い場所の景色が並んでいた。それは僕が行ったことがない場所だった。
昔のページに戻っていく。文章をすばやく追う。
でも、その中には僕の形跡は無い。わざと逸らした形跡も無い。
そうなのだ。僕は始めから存在すらしていないのだ。
その代わり、彼女の今の存在する範囲があった。
まったく関わることのないエリアだった。
様々なページの一つに彼女の姿があった。
知らないサブリナパンツに知らないローヒール。知っている横顔。
 
そこには数人の人間が集まるコミュニティーがあった。
明るく前向きなコメントがほとんどの文章に付いていた。
僕はそれに紛れて何かを書いてしまいたかった。
今の気持ち、そして今からの気持ち。
 
でも、書けなかった。
今日も彼女のブログは更新してある。いろんなコメントが付く。
僕は…そのリンクを消した。