ばあちゃん。2

握手。

ばあちゃんがあとわずかな命であることはなんとなくわかっていた。
83年の人生はある程度は満足できたものではなかっただろうか。
ただ、僕が家庭を持つ過程を見せれなかったのが、ちと悔しい。
1週間前からばあちゃんの熱が下がらない。さまざまな抗生物質もうまく効いていないようでその上血糖値があがらないとのこと。いくばくも無い…ということだ。
それを聞いた僕は悲しくならなかった。逆に気持ちよく送ってあげたい気分になっている。笑い上戸だったばあちゃんに笑顔になってほしい…筋萎縮のために表情が無いばあちゃんに。
今日、手をつないできた。点滴のために浅黒くなった手がそこにあった。
色黒だと気にしていたばあちゃんの手は長年の療養のせいで白くなっていた。
すこし冷たかったが、すこし力が入っていた。