簡単に言うな。

幸せそうにしているのが憎い。
これは嫉妬ではない。…よく分からない。
理解して欲しい…のだろうか。
この十字架を背負った数年間を。
1年間誰とも話せなかった揺らぎ、未だに引きずっている痛み、後悔、愛から変わった異様な感情。
これは誰に分かるわけでもない。
幸せに一歩一歩進んでいる人間には、単なる後ろ向きな考え方だと認識されるだろう。
そんなに単純なものでない。お前よりも地獄を味わってきたんだ。そばに悪魔が居座っていたんだ。

昔、血の涙を流した人間がいた。
重い恋愛に、重い裏切り。
そのとき、その人間はそいつを殺したいなんて思わなかっただろう。逆に、
そいつから殺してもらいたいなんて思ったことだろう。僕はそれがよく分かる。