雨の夜に見つめる虚空について。

にゃーーぁ!!

ここは海のそばだから、潮の香りのする雨が降る。
今日はあまりにいろいろなことがあったので、いつもより多く年を重ねた気がする。
時間は早く、とても遅い。その単位はこの世の中を支配し、僕の持つ空間を縮める。
この場所では男は男であり、女は女である。そういうことは変わりはしない。
優しくありたいのは優しくして欲しいからだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
あなたはあなたで、僕は僕だ。
鼻腔の奥にはココにはない匂いが記憶されているに違いない。
でも、それはすぐに消えていくに違いない。また再びそれに出会うまで。
 
線香の匂いがする。位牌と骨壷の祭られた祭壇には生気は全く感じられない。
雨の匂いがする。鼻腔をくすぐる匂いがする。
あなたの優しい匂いがする。僕はそれに憧れる。そんなことに憧れる。
優しくありたい。優しくされたい。そうありたい。
でも、あまりに周囲はシュールだ。誰も居ないかのような感触のなさだ。