ぼやけた視線の先には。

鬱陶しい。
日々は僕を混乱させるために存在する。一歩前のことを想像する。気が滅入る。こんなときは酒でも飲むのが一番だろうが、僕は「あれ以来」酒を飲むことを拒否し続けている。酒にリンクした記憶があまりにくだらない結末を迎えた話で、あまり思い出したくないからかもしれない。僕はこのままおかしくなってしまえばいい。「大地」を書いた某のように、風船とともに空に溶け込んでしまえばいい…それなのに、僕は必要以上に存在している。無意味だ。
こんなときにスイッチが入った。
体調が悪いのに誰も助けてくれない。憤りの向こうににたりとしたタクシーの運転手の顔があった。僕は憤怒した。奇声を発した。
「何ニヤニヤしとるんや、殺すぞコラァ」
バス停で待つ女性が驚き、こちらを見た。何故こんなときにスイッチが入ったのだろう。数分後、スイッチは切れた。想像の中は血まみれだった。現実は汗と溜息の中何もしなかった僕がいた。大きな、硬い、強固な壁がそこにはあった。
この試練はなんなのだろう。具合の悪さに財布も無くした。
抱きしめてくれる人がいない。世の中の最小単位は2だ。1は0に等しい。だから僕は0なのだ。消しゴムで消えてしまう人生なのだ。
最近涙がでる。ぼやけた視線の先には単なる他人の日常がある。