4月、僕には関係ない。

4月というものは出会いの季節である。
と世間には言われているようだけれど、
僕にはちっとも関係がない。
僕にとってはいつでも出会え、いつでも別れである。
こないだ会った人間からは軍鶏(しゃも)というマンガを勧められたが、全く読んでいない。
その前に会った人間とは高校時代の勉強合宿で話があったが、それ以降会っていない。

高校の卒業式、僕は一人でいた。
帰宅のときも一人だった。
バスの中で美術部のKと会った。話はしたことがあった。
「よお」ってなカンジの話の始まり方だった。
それなりに話をしつつ、結局こういう話の終わり方だった。
「お前と会うのは今日で最後だな」
なんとなく分かった。それは確かにそうかも知れないと思った。いや、そうなのだろうと思った。
人はこの世にたくさんいるが、もう会える由もない人間もそれに比例しているのだ。
僕はそんなに人に会いたくない。別れるのがつらいからだ。僕はそんな処世術しか持たない。僕は生きていくことが上手くない人間なのだろうと思う。器用じゃないのだ。
頭のいい、取捨選択の出来る利口な人間でないのが悔しくてならない。